大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(う)1993号 判決

被告人 平田真次

〔抄 録〕

所論は、原判決は、罪となるべき事実として、原判示第一、同第二の(一)および(二)の各事実を認定したうえ、右各事実がそれぞれ兇器準備集合、公務執行妨害、暴力行為等処罰に関する法律(第一条、刑法第二六一条)違反および道路交通法(第一一五条)違反の各罪に該当するものとし、同第二の(一)の公務執行妨害および暴力行為等処罰に関する法律違反の所為は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから一罪として犯情の重い公務執行妨害の罪の刑に従うこととすると共に、以上が刑法第四五条前段の併合罪の関係にあるものとして処断したが、右兇器準備集合の罪は、目的罪であつて、その目的の遂行としてなされたその余の右各罪に対して予備的行為の関係にあるから、後者の各罪に吸収されるか、または、これと牽連犯ないしは包括一罪の関係にあるものというべきであるので、前者の罪と後者の各罪とが同法第四五条前段の併合罪の関係にあるものとして処断することは許されないところであり、この点において原判決には、法令の解釈適用を誤つた違法がある、と主張する。

しかし、刑法第二〇八条の二の兇器準備集合の罪の規定は、集合の目的である加害行為の対象である他人の生命、身体または財産の安全の保護を考慮しながらも、主としては公共的な社会生活の平穏を保護しようとするものと解するのを相当とするから、兇器準備集合の罪の成立(既遂となる)後、その継続中に国家または地方公共団体の公務一般を保護しようとする同法第九五条第一項の公務執行妨害の罪、主として個人の身体、平穏または財産を保護しようとする暴力行為等処罰に関する法律第一条の罪または主として道路における交通の安全と円滑を保護しようとする道路交通法第一一五条の罪の各規定に触れる罪が犯されたときは、それが右兇器準備集合の目的に従つて行われたものであつても、兇器準備集合の罪の規定によつて保護される法益とは別異の新たな法益の侵害があつたものというべきであるから、兇器準備集合の罪がその成立後犯された前記各罪に吸収されまたはこれと包括一罪の関係に立つものとはいうことができないのはもとより、後者の各罪が通常前者の罪を手段とし、その結果として犯される関係にあるものとは認め難いので、その間牽連犯の関係を認める余地もないものというべく、全く別罪が成立するものと認めるべきものであるから、所論は前提において誤つているので、採用することができない。論旨は理由がない。

(石井 山崎 中村)

註 本件は量刑不当で破棄

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